【恋するキューピッド? 〜 EX 〜】










「――ッ!?」

 僕の突然の行動に、彼女――比那名居天子は何が起こったのか理解が追い付かないらしく、その大きな瞳を驚愕と困惑で丸くする。……まるで、数日前の自分を見ているかのようだ。

「あ、ふ……」

 咄嗟の事に加え、恐らくは初めての経験の為か上手く呼吸が出来ず、若干苦しそうにしているのを見て、僕は唇を離す。未だ天子は脳がパーフェクトフリーズしているらしく、呆然とした面持ちで僕の顔を見つめていた。
 その様が妙に可愛らしくて、僕は思わず頬を緩めてしまう。普段は気の強さが目立つ彼女だが、こうして見ればその外見に違わぬ可憐な少女だと、改めて認識したのだ。


 ――この少女が愛おしい。


 それが、今の僕の正直な気持であった。自分よりも大分幼い――実際の年齢は兎も角――少女、それも人間の成れの果てたる天人に恋慕など、滑稽にも程がある。だが……何時からか芽生え、そして育まれていたこの想いは、既に揺るがぬものとなっていた。

「天子」

 未だ虚ろとした彼女の名を呼ぶ。すると彼女の身体はビクン、と小さく震えその瞳にようやく力が戻る。そこには微かに怯えの色が見えて取れ、チクリと胸が痛んだ。もしかしてこの気持ちは僕の独り善がりではないか――そんな漠然とした不安が、僕の中に生じる。
 それを無理矢理に押し込め、森でしたように彼女を強引に自分の胸元へと引き寄せた。服越しに感じる彼女の温もりが心地良い。そっと、彼女の耳元に顔を寄せた。頬を擽る柔らかい髪の感触と、そこから微かに漂う桃の香りを感じながら、僕はもう一度彼女の名を呼ぶ。

「天子」

 一旦言葉を止め、静かに息を吸う。そして、

「僕は……君が好きだ。故に、今から僕は君を襲う」

 情緒もへったくれもない言葉で、僕は自分の素直な気持ちを目の前の少女に伝える。緊張の余り、その声は蚊の鳴き声ほどに小さく、頼りないものであったけど、しかし僕の胸の中にいる彼女に伝えるには、それで充分だった。
 天子の身体がビクリと固まるのが、抱き締めた腕越しに伝わる。今、彼女は何を思っているのだろう? 僕と同じものを持ってくれているなら、嬉しい。だが、もし違ったら――

「もしも嫌なら……僕を払い除けてくれて構わない。それこそ、殺すくらいの勢いで」

 それが表に出てしまったのだろう。知らず知らずのうちに、僕の声は震え始めていた。それでも身体は決して動きを止めず、彼女を床へと押し倒す。ふぁさ、と晴天よりも蒼い彼女の髪が床に広がる。その中心で、天子は夕焼けよりも顔を真っ赤に染めて僕を見つめていた。不安と困惑と、そして何かで揺れる彼女の瞳。それが何なのか、僕には解らない。だが、拒絶の色には見えなかった。

「……んッ!」

 まるで何かを堪えるように、待っているかのように天子はギュッと目を強く閉じて、身体を小さく震えさせる。その姿が可愛らしくて、僕はツーっと彼女の頬を指でなぞる。指を動かす度にピクンピクンと震えるのが、また僕の嗜虐心を刺激して堪らない。

「あ、んッ……!」

「……思った通り、此処は余り発育が良くないようだね」

「いやぁ……いわ、ないで……あッ」

 さわさわと、柔らかさよりも硬さが目立つ彼女の平らな胸に左手を這わせる。彼女自身の口からそういった事は今まで聞いた事がなかったが、やはりコンプレックスだったのだろう。僕の手を振り払おうと、彼女は手を振るう。しかしそこにはまるで力が入っておらず、形ばかりの拒絶であった。

「でも気にする事はないよ。小さい方が感度は良い、って言うしね」

「うぅ……んッ!」

 クク、と我ながら嫌味な風に喉を鳴らしてみせると、天子は如何にも恥ずかしそうに顔を染め、キッと僕を睨みつけてくる。だが、それも長くは持たない。左手に力を込めてやると、ピクンと小さくも確かに身体を震わせていた。

「……どうやら本当に感度が良いようだね。初めての癖にこれだけ感じるとは。……それとも、初めてじゃなかったりするのかな?」

「そんな……あ、わけ、んんッ……ないでしょ……ッ! 高貴な天人、たる私が……ん、そう簡単に、身体を許すッとでも思うッ!?」

「そういう割には、さっきから拒絶の意思がまるで感じられないけどね……こういうのが好きなのかい?」

 少々過剰に言ってみたものの、実際に彼女にそういった素養があったのだろう。手の平に感じる感触の中に、コリコリとしたものが混ざり始めた。僕に無理矢理犯されようとしているこの状況で、彼女はしっかりと興奮しているようだ。その事が、僕自身をも興奮させる。
 ……どうやら、何だかんだで僕もしっかりと男≠セったようだ。身体つきは……少々幼いものの、しかしその事を差し引いても彼女は、美少女と言っても差し支えないほどに見目麗しい。そんな少女を――前後の事情はさておき――自分のものに出来るという状況に興奮しない男はいないだろう。それに加え、僕には結構な嗜虐趣味もあったらしい。僕の言葉で、手で羞恥と快感に震える姿を見ると、何とも言えないゾクゾクとした感覚が僕の背を駆け上る。

「ふ、う……あッ」

 初体験であるが故に、彼女はこの単調な愛撫にも飽きる事なく身を捩らせる。その様は見ていて愉しくもあったが……しかし、僕の方がこの状態では満足出来なくなってきた。そろそろ、次の段階に進んでも良いかもしれないな。

「……服を脱がすよ」

「え、……?」

 元より返事など聞くつもりもなく、僕は彼女の服に手を掛けた。シュルリ、と胸元のリボン、そしてシャツのボタンを一つずつ外して行く。その間にも片手で愛撫を続ける事は忘れない。

「……君のこの小さな胸も、こうして揉み解してやればそのうち大きくなるかもね」

「いやぁ……見るなぁ……ッ」

 その言葉とは裏腹に、両手で隠すのは自分の顔ばかり。微かに確認出来るかどうか程度の膨らみは、宵闇の中でも尚はっきりと解るほど、白く輝いている。綺麗だ、と素直に思った。月光を反射して輝く、白い肌の上にうっすらと滲んだ汗の粒。僕の愛撫の結果だろう、ピンと屹立した桜色の突起。そのどれもが、異様なほどに僕の興奮を掻き立てる。
 一見、彼女の身体は女性的な魅力に欠けていると思いかねない。彼女自身、それをコンプレックスに感じているのだろう。だが、現実にはこうして僕はこれ以上ないほどに、彼女に魅力を感じている。どうやら、それほどまでに僕は彼女に入れ込んでいたらしい。

「……大丈夫、君はとっても魅力的だよ」

「うぅ……」

 根っからの僕の本心。にも拘らず、彼女はキッと涙で潤んだ瞳を必死に尖らせてくる。……やれやれ、気の強いお嬢様だ。まぁ、そこも含めて僕は愛おしく想っているのだが。
 チロリ、と彼女の胸元に浮かんでいた汗粒に舌を伸ばす。途端、少女の喘ぎと共に小さく身体が震えたが、しかし僕はそれを気にする事無く、彼女の汗と自分の唾液を混ぜ合わせるかのように、舌を這わせ続ける。興奮と快感からか、徐々に少女の柔肌は赤らみ、まるで桃のような色合いになって行く。心なしか、彼女の味も桃のように感じられた。流石は桃を食って暮らす天人、と言うべきか。
 それにしても、甘い。汗とはこんなに甘いものであっただろうか? 如何なる甘味にも勝るそれは、瞬く間に僕を夢中にさせた。もっと味わいたい、もっと貪りつくしたい――そんな思いが、僕を突き動かす。

「ん、は……あぁッ、ふあッ!」

 ちゅ、じゅる、ちゅぷ。ただ肌を舐めまわしているだけにも拘らず、随分な喘ぎようだ。……これで、服を剥がした時よりも更に屹立した突起を刺激してやったら、どれほど彼女は狂って見せてくれるだろう?

「ひぅッ!?」

 そう思った時には、既に彼女のピンと勃った乳首を口に含んでいた。これ以上ないほどに、ビクンと大きく跳ねる少女の身体。そこから零れた声には、苦痛の色すら混ざっていた。……少々飛ばし過ぎてしまったのだろうか? 夢中になる余り忘れていたが、彼女はこれが初めての経験なのだ。過ぎた刺激は、苦痛にしかならないのだろう。

「え……?」

 突然途絶えた刺激に、天子は呆然と、そして息絶え絶えといった様子で僕を見上げてくる。その瞳は興奮と快楽で虚ろに蕩けているが……しかし、そこに恐怖も混じっているのが、確かに見て取れた。僕がこんな顔にさせている――その事に対する罪悪感と、そしてもっとそれを見てみたいという嗜虐心。相反する感情が僕の中で高ぶり、交わって行く。
 今の僕は、さぞかし下卑た顔をしている事だろう。

「ふふ、こっちの方も大分良い感じみたいだね」

「あ、ふ……ッ!」

 ちゅく、と僕の指が触れた場所から、微かな水音が響く。それ――彼女の秘所は、下着越しからでもはっきりと解るほど濡れていた。彼女が僕の愛撫で感じてくれていたと、はっきりと解るその証明に、僕の胸は僅かに熱くなる。
 だがまだ早い。如何に天人とはいえ、その核となっているのはあくまで比那名居天子という少女だ。自身の欲望に任せて無理をする訳にはいかないだろう。もう少し、準備をしておいた方が良さそうだ。

「ッ!!? ど、どこに口付けて……ふあッ!?」

「何処って、ちゃんと解しておかないと辛いのは君の方だぞ? ……ん、じゅる」

「そ、そういう事じゃ、んッ」

 少女の愛液と汗でしっとりと重さを増し、既にその役割を果たしていない下着が剥ぎ取られ、剥き出しにされた少女の幼い割れ目を、僕の舌がまるで蛞蝓の如く這いずり回る。その度に彼女は半ば悲鳴のような声を上げるが、それは慣れない感触による嫌悪感からだろう。事実、少しずつそこに先程までと同様に官能的な響きが混ざり始めた。
 それに伴い、彼女の中から分泌される愛液も濃さを増してきたように感じる。その甘さは、先の汗の比ではなかった。これが、未だ男を知らぬ少女の味という奴か。じゅる、ちゅぷじゅぷ。

「ん、んんッ、あッ!」

 彼女の愛液と僕の唾液が混じり合って、濁った音が止まる事無く響く。それは少女の喘ぎ声と合わさって、何とも淫靡なハーモニーを奏でていた。こんな状況でなければ、その不快さに眉を顰めるどころではなかっただろう。しかし今この場においては、僕の興奮をより掻き立てるものでしかない。
 一頻り彼女の味を堪能してから、僕は一旦顔を離す。その代わり、という訳ではないが今度は中指を一本、ぬぷりと彼女の入口に挿し入れる。柔らかく生温かいそこは、しかし僕の指を排除しようとするかのように。ぎちぎちと締め付けてくる。これまでの愛撫で指の第二関節までは入る程度には解れたが、しかしまだきつい。

「……肩の力を少し抜いた方が良い。初めてだから仕方ないが、しかしこれでは痛いばかりだよ?」

「ひぁ、ふあ、あぁッ!」

 じゅぷじゅぷと、指を小刻みに動かす度に愛液が噴出し、水濁音を奏でる。同時に親指の腹で少女の未だに皮を被ったままの、それでいてぷっくりと膨らみつつある陰核を、軽く押さえつけるようにして刺激してやる。直接触れた時ほどではないものの、しかし女の最大の急所を刺激されて、またしても彼女は悲鳴にも似た喘ぎを上げた。が、その強烈な刺激に身体の緊張が僅かに解ける。

「そうだ……力を抜いて」

 愛撫を続けながらも、僕は天子に覆い被さるようにして、彼女の耳元に顔を寄せて囁く。彼女の、与えられる刺激に必死で耐えようとするも、しかし叶わずに快楽に震える顔は狂おしいほどに愛らしい。そっと頬に手を当て、大きな瞳から溢れる雫を舐め取る。

「ふむ、こっちも大分ほぐれてきたようだね……。もう一本、行けるかな?」

「ひぎッ!?」

 天子の返事を待つでもなく、僕は彼女の淫口へと更に人差し指を挿入した。途端、痛みからか彼女は瞳を大きく見開く。だがそんな反応とは裏腹に、熱く滾った彼女の中はグネグネと蠢いて僕の指に絡みついてきた。まだきつさはあるものの、先程よりかはマシになっている。……もう少し、といったところだろう。

「……天子」

「あ、はぇ……んッ」

 秘所から絶えず送られてくる快感に身体を震わせながらも、僕の言葉に振り向いた彼女に唇を重ねた。二度目のキス。しかしそれだけでは満足出来ず、僕は薄く開かれていた唇の隙間に舌を挿入する。

「んん!?」

 反射的な行動なのか、彼女は自らの舌で僕のそれを押し返そうとしてきた。だが、それは正に獲物が自ら飛びかかってきた形だ。突き出された彼女の舌を受け止め、絡ませる。更にじゅるるる、とわざと音を大きく立てるようにして、彼女の唾液を吸い立てた。  その間にも、秘所への愛撫は忘れない。じゅぽじゅぽ、じゅるる、と上下で水濁音を響かせながら、今までよりも更に大きく、ガクガクと腰を振るわせる。……そろそろ、みたいだな――そう判断した僕は、一気に攻勢を掛けた。

「ん、んんッ! んんーッ!」

 突然激しさを増した僕の攻めに、彼女は瞳を大きく見開かせ、上下それぞれの口からは溢れだした唾液や愛液が激しさの余り泡立ち始める。気づけば、指はすっかり根元まで入るようになっていた。そして僕は、一旦ギリギリまで指を引き抜き……一気に根元まで突き上げる。

「んんんーッ!!?」

 キューッ、と痛いほどに挿入した指が締め付けられ、それと同時に未だに僕に唇を重ねられたままの彼女は、くぐもった声で叫んだ。ビクビクと震える身体から、やがて力が抜けて行く。

「あ、は、あぁ……」

 挿入した指を抜き、顔を離してみれば、彼女は疲労と極度の快感からか半ば心神喪失状態のような呆然とした面持ちで、ツーと僕の口との間に掛かる銀の橋を眺めていた。

「大丈夫かい?」

「あ……ぅ……」

 殆ど強姦と変わらない事をしている分際で言う台詞ではないが、そう言わずにはおれなかった。そんな僕の言葉に、天子は未だ心此処にあらずといった面持ちながら、コクンと小さく頷いた。少し、ホッとする。

「それは良かった。……しかしすまないが、まだ終わりではないよ」

「……?」

 最早驚く余裕もないのか、雰囲気だけで疑問を浮かべる天子。そんな彼女に思わず苦笑を零しながらも、僕はズボンの中からそれを取りだした。

「……ッ!?」

 自分でも呆れるくらいに硬く熱くそそり立ったその怒張を、恐怖と怯えの混じった瞳で見つめてくる天子の、幼い割れ目にそっとあてがう。

「んッ!」

 くちゅり、と愛液と先走り液が触れ合い、水音を立てた。その感触に、僕も天子もビクリと身体を震わせる。油断すれば僕の意思とは関係なしに、身体が快楽を求めて彼女の中へと強引に捩じり込んでしまいそうだ。
 それを僅かに残っていた欠片ほどの理性で何とか押し止め、僕は天子の顔へと視線を向ける。自らの秘部に当てられる肉棒への恐怖と好奇心。それによって与えられるであろう快楽への期待と不安。様々な色が入り混じって蕩けた彼女の瞳を、僕はジッと見据えて、口を開く。

「天子」

 僕が名を呼んだ時、彼女は確かな光を、その瞳に宿した。

「僕を拒絶するなら……此処が最後だ。この先は、もう君に消える事のない傷痕を残してしまう」

 此処までやっておきながら何を、と自分でも思う。しかしその行動の根幹にあるのは、あくまで彼女への愛おしさだ。彼女の身体に、心に一生癒えぬ傷を残すのは……決して僕の本意ではない。
 そんな僕の問いかけに、彼女の瞳は明らかに先程までとは異なる色で揺れ……そして小さく笑みを形作った。

「なに……言ってるのよ……。あんたが、最初に言ったんでしょう? 嫌なら払い除けろ、って……」

「……それは」

 確かに、僕は最初にそう言った。そして彼女は抵抗らしい抵抗をしなかった。……けれど、それを同意してくれたと取るほど僕も単純な頭はしていない。突然の事での混乱、そして恐怖などで実際の意思とは関係なく、身体が上手く動かなかっただけかもしれないのだ。しかし、そんな僕の不安を包みこむかのように、彼女の手がそっと僕の頬に当てられる。

「また何か……くだらない事でも考えてるのね……? 心配、しなくても私があんた如きに黙って犯される筈が、ないでしょう? 押し倒されるのは予想外だったけど……それでも、私は霖之助とこうなる事を何時からか望んでた」

 そこで、彼女はふっと穏やかな表情を浮かべ、


「……まだ、返事言ってなかったわね。…………私も、好き。貴方の事が好きよ、霖之助」


「――ッ!」

 その言葉が、頬に当てられる手の温もりが、まるで乾いた大地に水を注がれたかのように、僕の心へと染み渡って行く。それはとても心地良い感覚で……

「だから……良いわよ」

 彼女のその頬笑みは、僕の中にあった最後の防壁を、あっさりと打ち崩してしまった。




「……天子ッ」

 ズンッ、と気づけば僕は勢い良く自らの怒張を彼女の中へと捩じり込んでいた。

「ひぎ……ッ!?」

 それなりに解していたとはいえ、初めてな上にいきなりの挿入は強烈な痛みを与えてしまったのだろう。天子は苦しげに背を仰け反らし眼を見開いて、ポロポロと涙を零していた。しまった、と僕は快楽を求めて今にも動きそうな身体を、必死に抑える。
 大きく数度上下する彼女の小さな胸。如何にも苦しげな様子の彼女を、僕はジッと待つ。その間にもまるで溶岩の如く熱く滾る彼女の中は、そのゼリーのような感触とは裏腹に、僕の分身を絞殺さんとばかりにきつく締めつけてくる。気を抜けば、このままでも達してしまいそうだ。

「も、もう……良い、わよ……」

 少し落ち着いたのだろう。額に幾つもの汗の玉を浮かび上がらせ、息も絶え絶えになりながらも、彼女は笑みを浮かべて見せる。それはどう見ても強がりにしか見えなかったが、僕の方も限界が近い。ゆっくりと、なるべく彼女に負担を掛けぬように腰を動かし始めた。
 ずりゅ、ずりゅ、と慎重に、彼女の中を調べるかのように腰を動かす。その緩慢に送られてくる刺激に、腰を思いっきり動かしたいもどかしさもあるが、しかしこれでも充分過ぎるほどに強烈だ。

「あ、う……あッ!」

「く、ぅ……ッ!」

 天子は無論、僕の方も射精感を必死に抑えている為に、思わず苦しげな息を零す。我慢も、もう限界が近かった。

「あ、あッ! あふ、ふぁッ!」

 そうしているうちに、徐々に天子の声から苦痛の色が薄らいでいく。それに呼応するように、ずりゅッずりゅずりゅッと水濁音が激しさを増して行く。見れば、何時の間にか天子の方も僕に合わせるようにして、腰を動かし始めていた。その事に天子が気づいているかは解らない。しかし、彼女も感じてくれている事が十二分に伝わり、僕はこんな状況にも拘らず嬉しくなってくる。最早、腰の動きを抑える事は出来なかった。

「あ、ひぁッ、あぁぁッ!?」

「く、う……ッ!」

 勢いを増し始めたピストンは、やがて彼女の最奥をコツコツとノックし始める。その強烈な刺激にガクガクと天子の身体が震え、ねじ切らんとばかりに彼女の中は僕を圧迫する。
 そして、限界は遂に訪れた。

「く、射精る、射精すぞ天子――ッ!」

「ああッ、霖之助ッ、わた、私もイク、あッ、あぁぁ――ッ!」

 僕の肉棒がぶるりと震えたと同時、半ば悲鳴のような声を上げながら彼女は僕の背に腕を伸ばし、強く強く抱き締めてきた。天人の力は人間の比ではない。比喩ではなく、実際に背骨を折られてしまいそうだ。しかしそんな、割とリアルな生命の危機にあって……いや、寧ろだからこそと言うべきか、外と同様に強烈な締め付けを与えられた僕の分身は、これまでに経験した事のないほどの勢いで、白濁色の欲望を迸らせた――





* * *




「……切っ掛けは、魔理沙の父親の勘違いだった」

 情事を終えた後共に風呂に入り、汗と愛液と精液で汚れた身体をさっぱりさせた僕等は、さして大きいとは言えない一組の布団の中で、互いの温もりを感じ合う為に、体を寄せ合う。そんな最中だ。彼女が、ポツリとその言葉を零したのは。

「あの時、私の中に言葉に出来ない感覚が広がったの。それは嫌なものであるような気もしたし、とても心地良いもののように感じたわ」

 寂しげな、悲しげな笑みを浮かべて零され続ける彼女の言葉を、僕はただじっと耳を傾ける。確かに、あの時の天子は様子がおかしかった。そして、それ以来彼女が此処を訪れなくなった事も覚えている。

「それがより明確なものへと変わったのは……あの、貴方と衣玖がキスをしているのを見た時だった。それを見た時、私の中で何か爆発したの。それは、『嫌だ』って感情だと後で気づいたわ。……可笑しな話よね、私は二人をくっつけようとしてたのに」

 その言葉を聞いた僕は、不思議と安堵のようなものを覚えた。……あれは、僕にとって一種の起爆剤となっていた。彼女にとってもそれは同様だったのだろう。ふ、と自嘲の笑みを浮かべる天子を、僕はそっと胸元に抱き寄せる。

「ッ!」

 途端、彼女の身体がビクリと震えるが……やがて、そこから力が抜けて行く。

「……君は良い匂いがするな。桃のような匂いだ」

「毎日桃ばっかり食べてたからね……。霖之助はちょっと黴臭い感じ」

「古道具屋だからな。その方が風情があって良いだろう?」

 互いにクスクスと笑みを零し合う。……やがて、どちらからともなく顔を寄せ合い、そして互いの温もりと香りだけを感じながら、僕等は眠りの淵へと落ちて行った――



















◆後書き◆

天子が可愛いのは私の嫁だから仕方ないよね。異論は霖之助さんのみ認める。(←此処までテンプレ

2010/3/21:執筆
2010/3/23:掲載











inserted by FC2 system